年末を彩る特別公演!花の会【能楽観賞日記】#38

花の会
観世能楽堂
2022年12月19日(月) 14:30開演

今年の観能納め!『花の会』を観に観世能楽堂へ行ってきました。

演目は、観世三郎太さんによる舞囃子「阿古屋松」野村万作さん・萬斎さん・裕基くんの親子三代による狂言「佐渡狐」観世清和さんによる能「葵上 古式」(アイは野村太一郎さん)、さらにお囃子には亀井広忠さんも居て観能納めに相応しい公演でした👏

狂言「佐渡狐」

   奏者:野村万作
越後の百姓:野村裕基
佐渡の百姓:野村萬斎
   後見:高野和憲

【あらすじ】年貢を納めに都へ上る途中で道連れになった佐渡のお百姓(演:野村萬斎)と越後のお百姓(演:野村裕基)。佐渡に狐のいるいないを巡り賭けをすることになったが、実は佐渡には狐はおらず、狐を知らない佐渡のお百姓は、奏者(取次の役人/演:野村万作)に賄賂を使い味方についてもらう。しかし奏者の「佐渡に狐はいる」という判定に納得のいかない越後のお百姓に、狐の形格好を問いただされ…。

*・*・*

以前ホールで、佐渡の百姓:裕基くん、越後の百姓:内藤さん、奏者:幸雄さんという組み合わせで観ました。その時の幸雄さんの奏者が最高に面白かったのが印象的で、今回はそれを万作さんver.で観れるということで、しかも百姓コンビは萬斎さんと裕基くんの親子ver.ということもあり、とても楽しみにしておりました。

んで、ホールで観た時の印象から、今回は正面席の方が良いと思って、運良く一席だけ空いてた正面最前列を取ったけど正解でした👍しかも、購入時にたまたま空いてたそのお席が、奏者役の目の前のお席ということで、、、

万作さんが賄賂を受け取るシーンを正に目の前で目撃してしまった🤣🤣🤣
もちろん満面の笑みだった🤣🤣🤣

ちなみに観世能楽堂の正面席に座ったのは今回が初めて。とりあえずコレで観世能楽堂の正面、脇正面、中正面、全部制覇した(笑)

佐渡に狐が居ると嘘ついた時の萬斎さんの言い方が絶妙で🤣、味方に付けようと賄賂を渡された時の万作さんの仕草がリアルで(特に他人に見られてないか確認する仕草が超リアル❗)、そんなズルい大人達の間に割って入る裕基くんの真っ直ぐな演技も合っていて、お三方ピッタリな配役で、前回観た時よりも大笑いしました🤣

やはり同じ演目でも役者のチカラって大きいなァと感じました。前回、裕基くんがやった役を今回は萬斎さんが演じたわけだけど、流石師匠というべきか、こういうすっとぼけた役(笑)をやらせると上手いといいますか、今回は、野村家親子三代の持ち味の良さが出せる演目かつ配役だったと思います😌

てか、何気に『万作さん&萬斎さん』とか『萬斎さん&裕基くん』での親子狂言は何度か観たことあるけど、野村親子三代揃っての狂言を観るのは今回が初めてだったんですよ。こんな貴重な公演を今年の締めくくりに観れて良かったですよ、ホントに。

後半は、越後の裕基殿に狐の特徴を問われ、珍回答を連発する佐渡の萬斎殿🤣そして珍回答を聞いてズッコケたり、アチャー😫って顔する万作さんが可愛いのなんのって❗🤭萬斎さんを観たいけど万作さんからも目が離せなくて、目線の移動が忙しかったです(笑)。裕基くんを間に挟んでの、萬斎さんと万作さんのやりとりが最高でした❗🤣🤣🤣

んで、佐渡狐のオチを観て思ったことは、前回も同じこと言いましたが、やっぱ嘘もズルも良くないよねってこと。

まぁ、佐渡の百姓が、もう少し記憶力良ければ嘘も貫き通せたのかもしれないけれど(苦笑)

ちなみに、この日のコーディネートは、萬斎さんが赤い袴で、裕基くんが黄色の袴でした。とても分かりやすくて、見栄えが良いコーディネートでした😉

能「葵上 古式」

六条御息所:観世清和
  青女房:坂口貴信
   巫女:井上裕之真
 横川小聖:森常好
   大臣:舘田善博
大臣の下人:野村太一郎

【あらすじ】光源氏の正妻・葵上は、物の怪にとりつかれ重態に。物の怪の正体を明らかにするため、照日の巫女(ツレ)を招き、巫女の法に掛けられて姿を表したのは、元皇太子妃で源氏の愛人の六条御息所の生霊(シテ)だった。御息所は、気高く教養深い高貴な女性だが、密かに源氏の姿を見ようと訪れた加茂の祭りの車争いで正妻の葵上に敗れ、やり場のない辛さが募っていた。御息所の生霊は葵上の姿を見ると嫉妬に駆られ、後妻打ちで葵上の魂を抜き取ろうとする。家臣たち(ワキツレ・アイ)は、生霊の激しさにおののき、急ぎ偉大な法力を持つ修験者・横川小聖(ワキ)を呼ぶ。小聖が祈祷を始めると、御息所の心に巣くっている嫉妬心が鬼女となって表われるが、激しい戦いの末、御息所の怨霊は折り伏せられ、心安らかに成仏するのだった。

*・*・*

以前、別の方がシテを務めた葵上を観たことがありますが、今回は小書き付。特殊演出「古式」では、破れ車の作り物を用い、御息所の侍女(青女房)が一緒に登場します。

前回は、扇を投げ捨てる時、六条御息所の生霊が寝ている葵上に向かって垂直に、かつ力強く綺麗に扇を落とす所が印象に残ってたんだけど、今回は落とした扇が勢い余って、階の三段目まで落下。その扇が微妙に開きかけてて良い角度で落ちてるものだから、小書きの演出効果もあってか「本当なら嫉妬なんかしたくない…」というような哀愁を感じてしまいました(ちなみに、その扇は紋付袴の方がやってきて直ぐに回収されていきました)。

前回は脇正面からの鑑賞だったけど、今日は正面席からの鑑賞だったので、シテとワキの攻防も凄い迫力を感じました。

普段は脇正面からの鑑賞が多いけど、たまには奮発して正面席から観るのも良いですね。特に今日は最前列だったので最高でした👍

てか、気づけば今年ラストの3公演は全て正面&脇正面の最前列で鑑賞してた!これは良い締めくくりだった!😳

ちなみに最前列の何が良いって、演者との距離感はもちろんですが、何より前の人の頭を気にせずに済むという快適さですよ!これを経験してしまうと、かぶりつき鑑賞が辞められないッス。

▼前回の能楽鑑賞日記はコチラ

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