初めての蝋燭能と萬斎さんの『川上』【能楽観賞日記】#73

観世会定期能
観世能楽堂
2023年8月6日(日) 13:00開演

この会は、復曲能「布留」、蝋燭能「鉄輪」に、萬斎さんの狂言「川上」とボリューム満点の番組でした!😆✨

てか、万作さんの「川上」が観たいなァと思ってたら、まさかの推しの「川上」が先に拝めることになるとはネw

蝋燭能も雰囲気バツグンだったから、また観たいなァ✨✨✨

復曲能「布留」

布留社ノ巫女/女神:観世清和
   布留社ノ巫女:観世三郎太
       山伏:宝生常三
      所ノ者:野村太一郎

 笛:竹市学
小鼓:大倉源次郎
大鼓:亀井広忠
太鼓:林雄一郎

【あらすじ】九州彦山の山伏(ワキ)が吉野熊野へ向かう途中、石上(いそのかみ)の布留明神に着くと、川で布を洗う若い女(前シテ・ツレ)に出会う。女は布留の名の謂れや、社の御神体である剣の由来について語り、立ち去る。山伏が神前に籠ると、夜更けに白く光り輝く剣を持った布留の女神(後シテ)が現れ、剣の恩徳を説き、舞奏でる。観世宗家に伝わる現存している世阿弥自筆本のうちの一つ。

*・*・*

何気に家元のお能を観るの初めてかも(いつも仕舞とかばかりで)。前シテは中入りせず、作り物(大道具)の中で着替えるんだけど、布が解かれて姿を現した後シテの女神から放たれる神々しさに目を惹かれた。大和時代っぽい髪型だったので、中性的な雰囲気だったのも印象的でした。

あと、横に垂らした両側の髪が、ちょっとウェーブ掛かってて、何となく平安萬斎無惨様を思い出しました(ヲイ)

今回は脇正面席4列目からの鑑賞でした

狂言「川上」

盲目の夫:野村萬斎
   妻:高野和憲
  後見:中村修一

【あらすじ】奈良・吉野に住む盲目の男(演:野村萬斎)は、 山奥の川上というところに霊験あらたかな地蔵があると聞き、参拝し参籠する。するとありがたい霊夢を見て再び目が見えるようになる。男は帰途につき迎えに来た妻(演:高野和憲)と喜び合うが、妻と離縁せよという地蔵のお告げを守らねばならず…。

*・*・*

万作さんが得意とする「川上」。DVDや配信では何度か観ましたが、その芸の素晴らしさに、一度くらいは生で拝んでみたいものだ…なんて思ってたら、まさかの萬斎さんの川上だってー⁉😳😳😳

ということで飛びつきましたね、誰かさんみたいにパクっと🐯🍖(笑)

役者が変わると、こんなにも印象が変わるものかと思いました。萬斎さんの盲目の夫は、芸風的にどこか誠実というよりはお調子者そうな所があり、チャーミングで可愛かった。高野さん演ずる妻も喜怒哀楽がハッキリしており、あの特大ボリュームの声の圧で、この夫に迫る感じ…なんてお似合いの夫婦なんだろうと思った🤣

旅の途中、盲目の夫が躓いて転ぶシーンがあるが、大胆かつナチュラルに転ぶもんだから、凄い上手いな、と思った(笑)
杖を持つ手付きも美しくて、ああ、もう、そういうところが好きなんだよ、と再確認。

盲目の夫が光を取り戻すと、萬斎さんの表情、特に瞳がキラキラと輝き出す。明らかに顔つきが変わる。しかし喜んだのも束の間、妻が別れないとお告げを拒んだ瞬間、再び光を失うと、台詞にもある濁った瞳を再現するかの如く、絶望にも近い曇った表情に変わっていく

序盤の目が治るかもしれないという希望、目が治った時の喜び、そして再び光を失った時の、まるで天国から地獄に突き落とされたかのような悲しみ、これらを全身で表現していて、この夫婦の心の動きが明確に伝わってきたせいか…

前半は、微笑ましい夫婦だなァとニコニコしながら観ていたのに、後半、夫婦揃って悲しむシーンでは、ホロリ😢としてしまった。…と同時に、たかのん妻の夫を想う気持ちが伝わってきて、良い夫婦だな、と思った。

ということで、この日は良いもの観たなと思い、余韻に浸りながら帰ってきました😌

https://twitter.com/mijuppa/status/1688179623644012544

蝋燭能「鉄輪」早鼓之伝

女/生霊:浅見重好
安倍晴明:野口能弘
  社人:野村裕基

 笛:杉信太朗
小鼓:幸正昭
大鼓:柿原弘和
太鼓:金春惣右衛門

【あらすじ】前夫を恨み、貴船神社に丑の刻参りをする女(シテ)は、社人(アイ)から「三つの足に松明を立てた鉄輪を頭に戴き、顔を赤く塗り、赤い衣を身につけて、憤怒の気持ちを持て」との霊夢の神託を告げられる。そして鬼と化した女は前夫を取り殺そうとするが、陰陽師・安倍晴明(ワキ)によって退散させられる。

*・*・*

安倍晴明…さっき御本人出てましたけど(違w)

という冗談はさておき(笑)、最近はろくに演目のことを調べる暇も無く当日を迎えてしまうので、、、

「蝋燭能」って何?と思ったのですが、休憩から戻ってきたら、能舞台の周りに灯りが置かれてたから、あーなるほどなー😳と。照明を落として、蝋燭の灯りだけで上演する形態のお能なのね。

客電落とした状態でお能観たのは「鬼滅の刃」しかなかったので🤣、雰囲気抜群で、すっごい良かったです👍✨

これは、良き経験でした。

後シテに使われた面も薄暗い中だと、目元が影になって、まさに鬼の表情になってました😱

あと普通のお能では基本的に、ワキ→シテ→アイの順で登場するけど、「鉄輪」では、アイ→シテ→ワキになってるのが面白いなと思いました。

今回は、お能2本立てだったので(しかも特殊)満足度高い公演となりました。貧乏性だからね、演目多いほうが嬉しかったりするんだよね(笑)

お能だけだと狂言が恋しくなるし、狂言だけだとお能が恋しくなるので、やはり能と狂言はセットで観るのが一番なんだろうなァと思いました。

ところで、

能「布留」は、布留明神の御神体である剣に纏る話。
能「鉄輪」は、前夫に恨みを持つ、ある意味、元夫婦の話。

それに対して狂言が「川上」。

こちらは目を治してくれる不思議な地藏が出てきたり、悪縁と言われても別れなかった夫婦の話なので、共通点はあるっちゃあるので、そこまで考えてチョイスしてたら面白いなと思う。

知らんけど(笑)

またお土産をもらってしまった🤣

▼前回の能楽鑑賞日記はコチラ

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