無知であるが故に騙される【能楽観賞日記】#24

国立能楽堂 10月定例公演
2022年10月5日(水) 13:00 開演

国立能楽堂の定例公演を観てきました。
演目は狂言「鎧腹巻」と、お能「雨月」。字幕解説付きです。

この公演、野村万作&萬斎親子と、万作の会の重鎮である石田幸雄さんが揃うこともあってか、一般発売日は運良く狙った座席を確保できましたが、チケット瞬殺だったので、かなりビビりました(前日に有料会員向けの販売があるので、一般に出回るのは残り少なかったりする)😅💦

今回は脇正面席4列14番からの観賞。ギリギリ柱に邪魔されない視界良好な位置で、個人的には国立能楽堂の脇正面席の中では一番観やすい位置なんじゃないかと思ってます。端っこだと中正面並に柱が邪魔になるし、真ん中だと役者同士が重なっちゃったりするしね。

*・*・*

そういえば先週の萬斎さんのラジオで、座席位置についての質問で「かぶりつきで観るのが好きな方も居るようですが、、、」って言ってたけど、そりゃ推し様が居たらね、なるべく近くで観たいって思うのが心理かなと。それに加えて私の場合は、軽い近視があるのと某灰色バンドさんのライブで一度も最前列を経験したことがない反動が働いてるんだと思います(笑

能楽の場合は役者の放つ迫力と装束が観たいので、脇正面前方で観ることが多いですけど、現代劇の場合は、萬斎さんの言う通り、舞台全体が把握できる少し引いた位置から観たいかなァ、と思います。眺めの良い二階席とかも良いですよね。

あと先日行われた、息子の裕基くんの釣狐の披キについても触れてたけど、息子に対する罪悪感ってところで、逆の見方をすれば、それだけ萬斎さんが子供の頃、狂言の修行が辛かったってことですよね…。そう思うと、ちょっと考え深いものがあります。萬斎さんが外の世界に好奇心旺盛なのは、その反動もあったりして…?🤔何はともあれ、たまに心配になるほど超ご多忙な推し様ですが、創作の方はとても楽しそうに活動されてるみたいなので、そういう一面が垣間見えると嬉しいし、ほっこりします。えぇ。

狂言「鎧腹巻」(和泉流)

太郎冠者:野村萬斎
   主:野村万作
 すっぱ:石田幸雄

【あらすじ】主人に頼まれ、鎧腹巻(鎧)を買いに都へ来た太郎冠者は、鎧腹巻がどんなものか、またどこで売ってるのか知らないまま出て来てしまったので、すっぱ(詐欺師)に騙され、鎧について書かれた紙と「おどし」の入った葛桶を売りつけられる。騙されたとは知らず、戻った太郎冠者は自信満々に主人へ説明を始めるのだが…。

*・*・*

もう一度言いますが、野村万作&萬斎親子と、万作の会の重鎮である石田幸雄さんが揃うという、なんとも豪華な配役です。これがお能と共に、正面=5,000円、脇正面=3,300円、中正面=3,000円で観れちゃうというのだから、そりゃチケットも売れるわ。💦

初めて都に出て来た萬斎冠者が浮かれてて可愛い。そして、そこへ忍び寄る“すっぱ”ことニコニコ顔の幸雄さん(笑)。来るぞ、来るぞ、萬斎冠者が騙されちゃうぞ〜と思うとニヤニヤしてしまった🤭いかにも詐欺師って感じの人物より、いい人そうな幸雄さんに言われた方が騙されるよね。萬斎冠者も疑ってなかったし、ある意味リアルでした(笑)

すっぱがどうやって萬斎冠者を騙すのかなと思ったら、鎧について書かれた紙を額に当てれば兜に、腹に巻けば腹巻になる!な〜んて、幸雄さんがニコニコしながら自信満々に言うので笑ってしまいましたが、鎧腹巻を見たことがない萬斎冠者は信じてしまいます(笑)

戻った萬斎冠者は、主人の万作さんに、すっぱから教わった通りに大まじめに鎧腹巻について語り始めます。説明するのに、主を差し置いて鬘桶に座っちゃう萬斎冠者が面白く、また冠者が主より頭が高い構図に「解せぬ…」と言わんばかりのオーラを出しながら、渋々地べたに座る万作さんが印象的でした👍

もうコレ、ドリフで言ったら、長さんとしむけんみたいな関係よね😂上下関係ハッキリ出てる役者の組み合わせだとリアルで面白さが増します。この演目は初見だったけど、万作&萬斎親子で観れて良かったなと思いました(そしてニコニコなすっぱの幸雄さんも❗)🤭

狂言「柑子」でも思ったけど、太郎冠者の馬鹿馬鹿しい話に、一応耳を傾けてくれる主人は優しいなァと思うと同時に、無能な部下を持つと上司は大変よね、と、ちょっと思ったり(笑)

能「雨月」(観世流)

老人/宮人:武田宗和
    姥:武田宗典
 西行法師:森常好
 末社の神:中村修一

【あらすじ】時雨の音を聴くために屋根を葺くか、月を愛でるために葺かないかと、風雅な争いをする老夫婦(前シテとツレ)の元に、住吉に参詣してきた西行法師(ワキ)が、宿を求めてやってくる。そこで、老人が詠みかけた下の句に、西行が即興で上の句をつけると老夫婦は喜び招き入れる。西行が休んでいると末社の神(アイ)が現れ、先ほどの老夫婦が西行の参詣をうれしく思った住吉明神であったことを語る。その後、住吉明神の神霊が乗り移った宮人(後シテ)が登場し、西行を和歌の友としてたたえ舞を舞うのだった。

*・*・*

和歌の徳を讃える、風流のある素敵な曲😌

…ですが、寝不足だったこともあり、まったり感にやられて、久しぶりにうつらうつらとしてしまいました💦老夫婦に化けた神様、アイも神様、なんか本当にまどろみ中、夢か幻か、そんな状態で観ていたんですけど、今思えば西行法師もそんな感じで住吉明神の舞を観ていたのかしらね?🤔

間狂言は中村さんでしたが、神様の役ということで面をつけており、お顔は拝見できずでした。

▼前回の能楽鑑賞日記はコチラ

▼前回の定例公演鑑賞日記はコチラ

AD

シェアする