平家物語の世界-語りの伝承 巻二十五-【能楽観賞日記】#18

平家物語の世界 -語りの伝承 巻二十五-
横浜能楽堂
2022年8月28日(日)13:00 開演

この公演は毎年この時期に行われてるようで、巻二十五ということは今回で25回目ってことですね。今回初参加でございます。普通のお能の会と違うのは、平曲(『平家物語』の詞章を琵琶の伴奏で弾き語りする語物の一種。)が聴けるところでしょうか。かつて盲目の琵琶法師が語っていたものが、こうして現代にも残っているのですね。

和風のゲームなんかしてると、琵琶法師というのは結構身近な存在だったりします。最近のゲームだと、そうですねぇ、『モンスターハンターライズ』でも作中に琵琶法師っぽい語りが聴けたりします。琵琶をベンベン鳴らしてます(笑

そんな琵琶法師が語っていたという平曲を生で聴く機会なんてそうそうないだろうと思い(まぁ一番の目的は推しだけど・笑)、これは是非行きたいなと思いチケットを一般発売日に確保しました。気合い入れた甲斐があったのか脇正面2列目を確保できました。

平曲「濱軍」

薩摩琵琶奏者 須田誠舟

【あらすじ】一の谷の合戦に敗れた名将平知盛がその子知章、従者監物太郎をつれて屋島へ落ちのびようとした時のこと、主従三騎は東国武士に囲まれ、知章は父の身代わりとなって討死します。目の前でむざむざ殺されるわが子を見過ごして、名馬井上黒を海へざっと打ち入れ、海上二十余町を游がせて、宗盛の乗船にたどり着く知盛。船中で兄宗盛に「いかばかり、人の上ならばもどかしうこそ候ふべきに、我身の上になりぬれば、よう命は惜しいものにて候ひけり」と語り、袖を顔に押しあてて、さめざめと泣いたのでした。

*・*・*

30分の予定だったけど、実際は40分くらいになっていた気がする。琵琶ってちょいちょい鳴らす程度で、そんなにベベベベベン!みたいな鳴らし方はしないんだなァ。お能みたいに眠くなるんじゃないかと思ったけど、歌詞カードが配られたので、それを見ながら聞いてたら意外と大丈夫でした。

内容は、平知盛の息子「知章」が、父を庇って討ち死にし、その直後、平知盛が逃げ延びた時の場面のお話ですね。萬斎さんが演出した『子午線の祀り』を観ていたので、その情景が浮かんじゃったんだけど、息子に先立たれる親の辛さはどの時代でも同じでしょうね…。

…が、それよりもグッときたのは、平知盛を助けた愛馬が別れを惜しんだシーンです。ダメですよ、ただでさえ動物ネタに弱いのに『Ghost of Tsushima』をプレイした人間に愛馬の話をしちゃ(愛馬絡みで辛いシーンがあるのです…)😭

馬にも感情があるんだろうなァ(だからこそ助けたんでしょうが)と改めて感じてしまって、あらすじ読んだだけでジーンとしてしまった(苦笑

ちなみに『平家物語』はお能の演目を見て、最近なんとなーく分かってきた程度の知識です。本で読もうと思ったんだけど、数ページ読んで頭に入ってこなかったからやめちゃったんだよね。てか、登場人物の名前がみんな似たような名前で覚えられないんだよ(歴史が苦手な原因のひとつ)。こういうのは、それを原作にした創作物から入った方が興味湧きやすい気がする。

狂言「呼声」

太郎冠者:野村萬斎
   主:内藤連
次郎冠者:中村修一
  後見:月崎晴夫

【あらすじ】無断で旅に出た太郎冠者が帰ったと聞いた主人は立腹し、翌日に早速、次郎冠者を連れて太郎の家に行きます。次郎が呼びかけても声に様子を察した太郎は居留守を使って出てきません。度は主人が代わって作り声で呼びかけると太郎も作り声で答えます。続いて平家節を付けて呼ぶと同じく節回しを付けて返します。その後も調子よく返すうちに思わず知らず興に乗ってしまい…

*・*・*

後見含めた演者が何気に、先日の相模薪能の時と全く同じ組み合わせ(笑

他人のふりをして居留守を使う太郎冠者(萬斎さん)をどうにかして外に誘き出そうと、あの手この手…というか『声』を使う主(内藤さん)と次郎冠者(中村さん)。てか、居留守ってバレてる時点で笑えるw

作り声で呼びかけると太郎冠者も作り声で答え、平家節で呼びかけると太郎冠者も平家節で答えるので、萬斎さんの様々な美声が堪能できるのも魅力的。最後は踊節で呼びかけると、ついに太郎冠者も興に乗ってしまい…というお話です。

狂言に興味を持ち始めた頃に、YouTubeで大蔵流の「呼声」を観たことがあります。その時も面白くて、ついつい最後まで見ちゃった感じだったのですが、和泉流だと演者の立ち位置やドタバタ感がまた一味違って、めっちゃ笑いました🤣

何より踊節にホイホイされてしまった萬斎太郎冠者が楽しそうで楽しそうで🤣
「にほんごであそぼ」ver.も観たことあるのですが、ラストの展開というか見せ方は知らなかったので、三人並んでの浮きの型と足拍子が凄い迫力でした!👀

能「知章」

 里の男/平知章:櫻間右陣
     旅の僧:森常好
須磨の浦に住む男:飯田豪

【あらすじ】筑紫の僧が上京の途中で須磨の浦へ着くと、平知章と書かれた卒都婆を見つけます。そこに里の男が現われ、知章は平知盛の子でここ一ノ谷で討たれ、今日二月七日は命日にあたると教えます。また一ノ谷合戦で父・知盛の命の危機を助けて討たれた話、井上黒という知盛の愛馬の忠誠の逸話を語り、僧に弔いを頼んで姿を消します。
僧の回向に知章の霊が現われて、わが身が討たれた後に父・知盛の悲しむ様子や自らの最期を懺悔し、修羅の業に苦しむ身の弔いをさらに頼んで消えていきます。

*・*・*

最近、後見か間狂言でしか飯田さんを見てない気がする💦
(一昨日に「首引」に出てたけど面付けてたし…)

平曲「濱軍」と同じシーンを題材にした修羅能。こちらは息子の「知章」に焦点をあてた作品で、あまりかからないみたいです。構成は他の修羅能と同じですね。命日だから供養してくれと、本人の亡霊が現れる。修羅能は名を残した武将が修羅道に堕ちて苦しむ話だけど、武将を主人公にしてるなだけあって、やっぱシテの装束がカッコ良くて好きだなァと。今回は「知章」だからなのか、それとも流派や芸風だからなのか、私の経験不足なので分からないけど、なんだかふわりふわりと優しい舞いのように感じました。

*・*・*

さて、横浜能楽堂の公演はこれにて終了なのですが、実はこの日、萬斎さん…というか万作の会の一門は夜にもホール公演が控えており、時間的に間に合いそうだったので、ワタクシもそちらへ向かうことに💦

「呼声」の余韻に浸りながら、人生初の狂言梯子でございます(ということで次回へ続く)

▼前回の能楽鑑賞日記はコチラ

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