桶川市民ホール開館25周年記念【能楽観賞日記】#28

主催事業 開館25周年記念 響の森 祝言能
響の森 桶川市民ホール
2022年11月6日(日)14:00 開演

桶川市民ホール開館25周年記念「響の森 祝言能」を観るため、埼玉県桶川市まで行ってきました。地元から電車で1時間強ですが、乗換無しで行けるので楽でした。

今回は能舞台ど真ん中の最前列での鑑賞だったので、これだけでもルンルンだったのですが(笑)、当日配られたプログラムを見てビックリ!👀

演目の前に、野村萬斎さんと宝生流二十世宗家の宝生和英さんとの対談がありました!😆

まぁ対談と言っても能楽や演目の解説がメインでしたが。
司会はホールと併設されてる『さいたま文学館』学芸員の影山亮さんです。

実はこの『さいたま文学館』の方で、文豪「永井荷風」展をやっており…

萬斎「私、永井荷風と親戚なんですよ」

観客(驚)

萬斎「3月頃にやったファミリーヒストリーって番組を見返して頂くと出てくると思うんですけど」

なんて話も出たりして…☺️

ブラウザゲーム「文豪とアルケミスト」とのコラボも兼ねてるらしい

萬斎「永井荷風って顎が長いのね。私も長いんですけど、永井荷風のDNAなのかな(笑)」

司会「永井荷風って身長180くらいあったらしいですけど、その辺も入ってるのでは?」

萬斎「私はそんなに高くないけど(笑)、あ、でもうちの倅はそれくらいありますね」

永井荷風の顎の長さと高身長を受け継いだ野村親子(笑)

てか顎云々より(笑)永井荷風が持っていた文学に対する情熱や行動力の方が、通ずるものを感じますけどね。萬斎さんの能楽や演劇に対する情熱や行動力にも凄いものを感じますよ😉

司会「今日はご子息と一緒に出られるんですよね」

という話から代々受け継ぐ的な話になり、

萬斎「宗家は…18代目でしたっけ?」

和英「20代目です🙂」

観客(大笑い)

そこ間違えちゃダメなやつ!🤣

ラジオ聞いてる人は知ってると思いますが、萬斎さんのテキトーな一面も見れたりして面白かったですw

他にも、和英さんが萬斎さんに、なかなか良い質問をされてて、萬斎さんから見た能楽(お能)の印象は?ということで、音楽性とスケールのデカさを挙げてました。お能は状況説明を全て謡で表現するので、そこが狂言とは違う所かと。

あと和英さんが、能楽は昔からあるものなので、年代による流行り廃りに左右されない、能楽好きは世代関係なく話が合うので、能楽は世代を超えることが出来る的な事を話してて、なるほどなァと思いました😌

その後、萬斎さんは演目の準備があるので人足先に退場し、司会の影山さんと和英さんの2人きりに。

和英「急に寂しくなっちゃいましたね。萬斎さん戻ってこないかな~」

・・・と切戸口をチラリw
和英さんもお茶目な一面があって親近感がわきました🤭

能舞台ど真ん中の最前列の視界

狂言「蝸牛」

太郎冠者:野村萬斎
  山伏:野村裕基
  主人:野村太一郎

【あらすじ】主人(演:野村太一郎)から長寿の薬として蝸牛(=🐌)をとってこいと命じられた太郎冠者(演:野村萬斎)だったが、そのカタツムリがどんなものか知らないので、藪の中で寝ていた山伏(演:野村裕基)をカタツムリかと思って尋ねる。山伏は無知な太郎冠者をからかってやろうと、自身がカタツムリだという特徴を見せて信じさせてしまう。山伏は囃子物にのって行こうと、太郎冠者に囃させ「♪でんでんむしむし」と音頭をとり戯れる。一方、太郎冠者の帰りが遅いので主人が迎えにくると、両者の戯れを目撃して驚く。太郎冠者に「あれは🐌ではなく山伏だ」と教えるが、最後は主人までも引き込まれ、ともに浮かれながら帰って行く(※)

※本来は大蔵流の筋で、和泉流では通常、正気づいた太郎冠者と主人を山伏が打ち倒して逃げていくという終わり方になっている。

*・*・*

仕舞2曲の後、狂言「蝸牛」へ。
25周年記念ということで、長寿繋がりで選曲した模様。

以前、太一郎さんの会で、茂山家の「蝸牛」を観たので内容は知ってるのですが、やはり分かりやすくて何度見ても面白い演目です。今回の催し物にはピッタリの演目でした。

実はこの公演、シテ以外の事前情報が全然なくて(苦笑)、萬斎さんがシテなら山伏役かなと思ってたら、萬斎さんが太郎冠者、裕基くんが山伏、太一郎さんが主人デシタ。

ちなみに対談の時に萬斎さんがあらすじを説明してくれたけど、もうその時点で笑いが起きてました(笑)。なので太郎冠者が騙される瞬間を皆が待っていて、初っぱなから台詞のひとつひとつに笑いが起きてました🤭太郎冠者が山伏を見つけた瞬間、会場の空気は「来るぞ来るぞ(ニヤニヤ)😏」って感じでしたね🤣

裕基くんの山伏は一生懸命さが伝わってきました。
結構、山伏の動きが激しいので額の汗がキラリと😅
こういう細かいところまで見れるのは、最前列の醍醐味かなと😌

若さ故のフレッシュさがあってとても良かったデス😌
これは今の裕基くんにしか出せない魅力。

萬斎さんの太郎冠者は今回もキュートでした💕
弟子2人を相手にベテランの芸を魅せてもらい、笑った笑った❗🤣

主人にそれは山伏だと言われて「え?あなたカタツムリ🐌じゃないの?🤨」って表情がツボでした。主人と山伏との板挟みっぷりも…🤣

親子で楽しそうに浮きに浮いて、片足ケンケンしてるのも観てて面白かったデス🤭
てか、凄い綺麗な片足ケンケンで体幹凄いなと思いました😌
まさに親子の息がピッタリで、ベテランの萬斎さんが上手くリードしてあげてたようにも思えました😌

そして三人の中で唯一の常識人?な主人を演じた太一郎さんの存在感も良かった。結構ハマってたと思います。けど、そんな主人も最終的には浮かれてしまい、三人仲良く、大蔵流と同じように仲良く退場🤣

和泉流は本来違う終わり方だけど、祝言なので、めでたい感じの方に変えたのかもしれませんね🤔

能「小鍛冶」白頭

  前シテ/童子:宝生和英
後シテ/稲荷明神:小倉伸二郎
 ワキ/三条宗近:舘田善博
ワキツレ/橘道成:則久英志

【あらすじ】帝が不思議なお告げの夢を見たため、一条の院に使える一条天皇の勅使・橘道成(ワキツレ)は、刀匠・三条宗近(ワキ)の家に向かい、剣を打つよう帝の命令を宗近に告げるが、宗近は剣を打つために欠かせない、相槌を打ってくれる者がいないと困惑する。そこで宗近は、氏神である稲荷明神に詣でる。すると不思議なたたずまいの童子(前シテ)が現れ、名剣の謂われを語って宗近を励まし後日を約して去る。宗近が私宅に戻り、鍛冶の壇を整えて神に祈りを捧げると、稲荷明神(後シテ)が出現。稲荷明神は宗近の相槌をつとめて、剣を打ちあげ、小狐の銘を刻み、道成に剣を捧げる。そして雲に飛び乗り、稲荷山へと帰っていくのだった。

*・*・*

今回は祝言なので、少しでも多くの演者を出したいとのことで、前シテと後シテを別の演者が演じるという特別仕様。また普通は赤頭だが、今回は白頭。赤より白の方が位が高いので、より神格化が増すのだとか。

宝生流のお能を観るのは春の「夜桜能」以来(しかも雨でホール公演だった・涙)。そして宗家のシテを観るのはお初でしたが、流石宗家と言いますか、凄く惹かれるものがありました。声も良いし(←声ヲタだなァ😅)

何となく気高い少年(実は稲荷明神の化身)の役ということで、その容姿から、ちょっと映画「乱」の鶴丸を思い出しちゃったりして😅

面と装束に身を包んだシテ方を最前列の真正面から観ていたので、そのまま神の世界に引き込まれるような不思議な感覚を覚えてドキドキしてしまいました。ホントに直視して良いのか迷ってしまうくらい、目線の先にシテが居て、シテも真っ直ぐこちらの方を見ている。ど真ん中の最前列でお能を観ると、こんな感覚になるのかと、すごく貴重な体験でした😌

後半の後シテとワキによる刀鍛冶のシーンでは、まさに目の前で行われてたので、凄い迫力でした。装束もじっくり観れて満足。後シテの頭に乗っかってる狐が可愛い😌(気になる方は演目名で画像をググるとイメージが出てくるかと思います)

一方、ワキ方の装束は凄い年季が入ってて、凄い公演数をこなして来たんだろうなァと感じました😌

公演終了後、公演を観た人だけ特別に永井荷風展を無料で見せてくれると言うので(太っ腹!)観てきました。本物の私物とか展示されており、最前列ってだけでも嬉しいのに、様々なサプライズがあって、今回は充実した1日となりました。埼玉まで来た甲斐がありました👍

こちらのホール、駅チカで交通の便は良いので、またお能の会や狂言の会をやって頂きたいですね。

▼前回の能楽鑑賞日記はコチラ

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