久しぶりの茂山家〜東西狂言の会〜【能楽観賞日記】#53

東西狂言の会
三鷹市公会堂 光のホール
2023年4月8日(土) 14:00開演

『東西狂言の会』を観に「三鷹市公会堂 光のホール」に行ってきました。毎年行われてるっぽいですが、昨年は行けなかったので、今年が初参戦です。

演目は茂山千五郎さんの『宝の槌』、万作さんの『箕被』、萬斎さんの『悪太郎』。『箕被』以外は初見。三曲とも毛色の違う内容で面白かったです👍✨

この日の解説は深田さん。深田さんの解説を聴くのは2度目かな。解説って人柄が出ますね。一生懸命な深田さんの解説はいつも誠実さを感じます🤭

狂言「宝の槌」(大蔵流)

 果報者:茂山千五郎
太郎冠者:茂山茂
 すっぱ:茂山逸平
  後見:山下守之 

【あらすじ】主人(演:茂山千五郎)に命じられて都に宝物を買いにきた太郎冠者(演:茂山茂)。そこへ、すっぱ(演:茂山逸平)が現れ、ただの太鼓の古撥を、あの鎮西八郎為朝が鬼ヶ島から持ち帰った打出の小槌だと偽って差し出す。教えられた呪文を唱え、「カッタリ、カッタリ」と撥を振ったところ、すっぱがこっそり投げた脇差が、太郎冠者の両脚の間から飛び出してきたので、太郎冠者はすっかり信用し、その古撥を高値で買って持ち帰る。しかし帰宅後、主人の所望する馬を打ち出そうとしても全く出てくる気配がない。苦しい言い逃れも底をついた太郎冠者は・・・。

*・*・*

『末広がり』系の笑える、かつおめでたい演目。解説によると和泉流は太郎冠者がシテだけど、大蔵流だと果報者がシテになるそう。そういえば、舞台上での太郎冠者とすっぱの立ち位置も逆だよね🤔

千五郎さんを観るのは、昨年の太一郎さんの会以来。その時も思ったけど、声のボリュームが凄い!!😳
万作の会の高野さんもクソデカボイスだけど(褒めてる。てかそれで好きになったw)、それ以上なんじゃないかな。ホールに響き渡る千五郎さんの声を全身で浴びてきました(笑)

逸平さんを観るのは、1月の『媽祖』のとき以来ですかね。
超真面目な顔して太郎冠者を騙すもんだから笑ってしまいました😂

そして茂さんを拝見するのはお初かな。
宝の槌から馬が出てこなくて焦る太郎冠者にも笑ってしまいました🤣

狂言「箕被」(和泉流)

 夫:野村万作
 妻:中村修一
後見:飯田豪

【あらすじ】連歌に明け暮れる夫(演:野村万作)に愛想をつかした妻(演:中村修一)が離縁を申し出る。夫は離縁を了承し、そのしるしとなるものを渡そうとするが、貧乏で家には何も残っていなかった。そこで妻が長年愛用した箕を離縁のしるしとして渡す。妻がその箕を被いて出ていこうとすると、それを見た夫がその姿に風情を感じ、「いまだ見ぬ二十日の宵の三日月(箕被き)は」と発句を詠み、同じく連歌を趣味とする妻の親へ伝えるよう頼む。それを聞いた妻は自ら「今宵ぞ出づる身(箕)こそつらけれ」と脇句でみごとに応じ、妻に連歌の才能があると知った夫は妻に詫びを入れ、めでたく復縁するのであった。

*・*・*

この演目は他家ver.→萬斎さんver.ときて3度目。萬斎さんver.を観れただけでも嬉しいのに、この手の狂言が得意そうな万作さんver.も観れて嬉しい。

役者が変わると夫のキャラに対する印象も若干変わりますね。萬斎さんは趣味に没頭する駄目夫って感じで面白さが増していたのですが、万作さんは三度の飯より連歌が好き!寝ても覚めても連歌狂!って感じで文化人の匂いがしてました。この日に着てたお着物も似合ってたなァ😌

だから妻に離縁を申し込まれると、連歌を辞めるわけにはいかないからとアッサリ承諾してしまう(苦笑)でも、実はその妻こそが、夫にとって最高のパートナーだったということで、最後はヨリを戻す。その素敵な話の流れが万作さんの表情からより伝わってきて、この演目が更に好きになりました😌

笑いよりも風流を重視した曲故にベテランじゃないと務められない難しさも改めて分かった気がします。初めて観た時は正直そこまで面白いと思わなかったけど、萬斎さんや万作さんが演じた時は笑いが起きた。それだけキャラが魅力的に見えた。型通りとはいえ、やはり演者の力は大きいのだと改めて😌

万作さんの『箕被』を観て、万作さんには万作さんの、萬斎さんには萬斎さんのお色があって、これはどちらのお色も良いなと思いました。みんなちがって、みんないい。ということで、萬斎さんの『箕被』もまた観たくなっちゃいました😆(また演ってね!)

そうそう、今回、妻役を演じた中村さんも良きでした。元々、彼の女役は安定感ありますが、今回も、夫に苛立つ聡明な妻の雰囲気が出ており良きでした。こちらもなかなか良きご夫婦でした😌

狂言「悪太郎」(和泉流)

悪太郎:野村萬斎
 伯父:石田幸雄
  僧:野村裕基
 後見:内藤連

【あらすじ】乱暴者で酒好きの悪太郎(演:野村萬斎)は長刀を携えて、酒を飲むことを非難する伯父(演:石田幸雄)を脅してやろうと訪ねるが、そこでも散々お酒を飲み、帰途道端で寝込んでしまう。心配して跡をつけてきた伯父は、この様子をみて、悪太郎から長刀や小袖などを取り上げ、頭や髭を剃ると、枕元に僧衣を置き、今後は名を“南無阿弥陀仏”とつけると言い渡して去る。目覚めた悪太郎が、夢心地に聞いた言葉を仏のお告げと思い、出家の覚悟を決めると、そこへ僧侶(演:野村裕基)が「南無阿弥陀仏」と名号を唱えながらやってくる。悪太郎はわが名を呼ばれたと思って返事をするのだが・・・。

*・*・*

初見。萬斎さん、酔っぱらいの演技ウマすぎッ!😆💕

前半の伯父とのやり取りでも笑ったし🤣
後半の僧とのやり取りも笑った笑った!🤣🤣🤣

橋掛り側から見ていた私は、悪太郎が眠りについた時、残念ながら反対側を向かれたので寝顔は見れなかったけど、伯父が悪太郎を坊主頭にする時、頭巾と髭を取るのに頭を支えてる方の片手で紐を解いてたので器用だな😳と思いました。因みに二重に被って頭巾IN頭巾してるのね、アレ。

裕基くんと萬斎さんは今日も息ピッタリで、坊主になった悪太郎と僧のやり取りには大笑いしちゃいました🤣🤣🤣

裕基くんのシカトっぷりもナイスでした🤣🤣🤣

狂言『悪太郎』観れて良かった〜!🤣🤣🤣

ちなみにこの日の推し様は、もみあげが外側にハネてクルンとなってて、ちと可愛かったデス🤣🤣🤣

▼前回の能楽鑑賞日記はコチラ

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