野村太一郎さんの三番叟〜花影会〜【能楽観賞日記】#54

第53回 花影会
観世能楽堂
2023年4月16日(日) 13:00開演

久しぶりに観世能楽堂に行ってきました。演目は、松木千俊師による「翁」と能「高砂」、萬斎さんの狂言「張蛸」、武田友志師による能「熊野(小書全部乗せ)」とボリューム満点。本日の三番叟は太一郎さんでした。今年に入ってから、萬斎さん以外の三番叟を観る機会が多いなァと思う今日この頃。

なかなかの長丁場
「翁」

  翁:松木千俊
 千歳:武田宗典
三番叟:野村太一郎
 面箱:野村裕基

 地頭:武田志房
  笛:一噌隆晴
 小鼓:大倉源次郎・飯冨孔明・大倉伶士郎
 大鼓:安福光雄
 太鼓:林雄一郎

*・*・*

太一郎さんの三番叟は、萬斎さんの三番叟の型に近いモノを感じました。もちろん師匠である萬斎さんの方が、もっと超絶キレッキレ✨なんですけど😅

師匠に指導してもらったのか、彼が師匠をよく研究してるのか、その辺の事情は分かりませんけど、こうして芸は受け継がれて行くんだなと感じました。

彼の古巣の件を考えると最初に教わった師は萬さんらしいので、ベースはそこなんだろうけど、同じ野村家、ルーツは同じだから、大きく外れてはいないはず…とにかく安定感はありました👍✨

でも体力はキツそうだったなァ😅
表に出さないようにしてたけど何となく伝わって来ちゃった💦

揉之段が終わって、翁の面を着けて出てきたとき、ちょっとだけ肩で息してて、やっぱ揉之段ってキツいんだろうなァと思いました。

因みに今年初めに岡さんの三番叟を観た時は「あ、万作家の三番叟だなァ」と思ったんだよね。そしたら指導したのが万作さん直々だったらしいじゃないの!😳
自分の弟子だから名乗り出たのか、三番叟得意な若先生がご多忙だから気を使ったのか😅
年齢考えると教わる方も気を使いそう😅

能「高砂」

 老人/住吉明神:松木千俊
    老人の妻:武田宗典
阿蘇宮の神主友成:福王茂十郎
   友成の従者:喜多雅人・村瀬慧
  高砂の浦の男:深田博治

【あらすじ】神主(ワキ)が高砂の浦で、松の木陰を掃き清める老夫婦(前シテ・ツレ)と出会い、高砂の浦と住吉の浦にある「相生の松」の由来を聞く。神主は老夫婦に誘われて摂津国住吉に向かい、住吉明神(後シテ)の出現を目にする。兵庫県高砂市にある高砂神社と、大阪市にある住吉大社にまつわる能で、最もめでたい曲。

*・*・*

「翁」が終わると、ノンストップで、お能「高砂」へ。後半、住吉明神が若い男性の神の姿で「神舞」を舞うのですが、それがとてもカッコ良かった。私は、やはりこういう男性系の舞が好きらしい。装束も迫力あるしね。

狂言「張蛸」

 果報者:野村萬斎
 すっぱ:石田幸雄
太郎冠者:中村修一
  後見:飯田豪

*・*・*

更にノンストップで、狂言「張蛸」へ。滅多にかからない和泉流だけの上演曲。内容は狂言「末廣かり」と全く同じ。太郎冠者の買い物が傘から太鼓に変わっただけです(笑)ただ太鼓なだけに華やかさ、めでたさが増していました。

以前、「末廣かり」で萬斎さんの可愛い太郎冠者を観たことがあるので、今回は果報者の方を観れたのは良かったです😋

太郎冠者の囃子に乗せられて立ったり座ったりを繰り返す所は、体幹がお見事でした。凄く動きがキレイだった👍✨

そして、すっぱに騙されて買った太鼓を得意げに説明する、中村さんの太郎冠者もキラッキラしてて良かったです🤣👍✨

幸雄さんのすっぱも、お客さんの笑いを次々誘っていて面白かった〜🤣👍✨

今回は正面席からの鑑賞
能「熊野」読次之伝 村雨留 墨次之伝 膝行留

 熊野:武田文志
 朝顔:坂口貴信
平宗盛:福王知登
 従者:矢野昌平

  笛:松田弘之
 小鼓:飯田清一
 大鼓:河村大
 地頭:武田宗和

【あらすじ】遠江の国、池田宿の遊女・熊野(シテ)は、平宗盛(ワキ)の寵愛を受け、都に留め置かれていた。熊野の老母は病気のため、宗盛に度々暇を乞うものの、今年の花見までは一緒に過ごそうと言い、なかなか帰郷の許しが出ない。その頃、侍女の朝顔(ツレ)が、“病状が思わしくないために、娘に一目でも会いたい”と綴った母の手紙を持ってやってくる。そこで熊野は母の手紙を宗盛に読み聞かせ、帰郷の許しを再度願うが、宗盛は帰郷を許すどころか花見の供に連れ出してしまう。清水寺に着くと春爛漫の中、熊野は母の身を案じつつも桜をめでて優雅に舞う。すると急に時雨が来て、花が散ってしまう。この様子を見た熊野は、母の面影を重ねて和歌を詠む。そして、その歌に心動かされた宗盛は、ついに彼女の帰郷を許可する。熊野は宗盛が心変わりしないうちに…と、急いで京を発つのであった。

*・*・*

観世流の小書き(特殊演出)が全てついた「熊野」でした。

●読次之伝(よみつぎのでん)
通常は母の手紙を熊野が一人で読み上げますが、読次之伝では、まず宗盛が読み始め、熊野が引き継いで読む演出に変わります。

●村雨留(むらさめどめ)
舞の途中で雨が降り出したので、熊野が空を見上げ舞を止めるという演出に変わります(中之舞が通常よりも短くなります)。

●墨次之伝(すみつぎのでん)と、膝行留(しっこうどめ)
この二つは一連の演出で、熊野が短冊に歌をしたためる時に扇を筆に見立てて書くのですが、通常は一行で書くのに対し、この小書きが付くと、途中で筆に墨を含ませる動作が入り、二行に渡って歌を書きつけます。

ということで、なかなか深みを増したお能「熊野」でしたが、ただ、舞を舞うまでが長くて、今回はちょっと眠くなってしまったのは秘密(前日にいろいろあって寝不足だったのよ😂)

でも、「夜桜能」以来かつ「FFX歌舞伎」鑑賞後のお能だったので、やっぱお能も好きだなァと思いました。何よりお囃子の音が癒やされる。内容が分からなくても、感じることに集中することで、心身が清められるような気がします😌

▼前回の能楽鑑賞日記はコチラ

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