「バリアフリー能」を観てきました!【能楽観賞日記】#48

横浜能楽堂 普及公演「バリアフリー能」
2023年3月21日(火・祝) 14:00開演

舞台『ハムレット』の余韻が残る中、約1ヶ月ぶりの能楽鑑賞に行ってきました。

横浜能楽堂が年一回行っている「バリアフリー能」とは、障がいのある方もない方も一緒に能狂言を楽しむことのできる公演です。誰でも気軽に楽しめるように、演能中の途中入退場は自由にしたり、解説時に手話通訳を付けたり、上演時にタブレットやスマホアプリによる字幕配信を行ったりしています。

今回頂いたパンフレットの中身には、解説だけでなく、各演目の台詞までもが、ルビ付で載っていました。これは凄い!今回は、このパンフレットを見ながら鑑賞されていた方が多かったようです。

客層は、障がいのある方はもちろん、祝日だったからか、お子様連れも多かったです。どちらかというとホール公演のラフさに近いものを感じました。

演能の前に、宝生流・田崎甫師による、能楽堂や演目についての解説がありました。良いお声で、ゆっくり、丁寧に、時にはユーモアも交えながら(要は眠くなると思うが寝るなと・笑)解説してくださったので、とても分かり易かったです。

以前、萬斎さんも言ってましたけど(大槻裕一くんもインタビューで言ってましたけど)、田崎甫師によると「よく聞かれるんですが、寝てる人は、舞台上からだとよく見えます」とのことです(苦笑

すっかり咲いてしまった桜。今年の夜桜能は葉桜決定だなw
狂言「首引」(和泉流)

    親鬼:野村萬斎
鎮西八郎為朝:飯田豪
    姫鬼:内藤連
    眷属:高野和憲・金澤桂舟・深田博治・中村修一・岡聡史
    後見:福田成生

*・*・*

もう、この演目観るの3回目なので、あらすじは割愛しますわよw

▼「首引(萬斎ver.)」の感想はコチラ

▼「首引(内藤ver.)」の感想はコチラ

姫鬼の、人の食い初めを成功させるために、子煩悩なパパ鬼がアレコレする話。これは鬼の親娘が可愛いので、何度観ても面白い演目です。今回も観客の反応が良いのもあって、終始、口角が上がりっぱなしでしたww

今回の萬斎さんの装束は、お能のような金ピカの羽織にオレンジの袴。あれ?パパ鬼の装束ってこんなにゴージャスだったっけ?🤔と思いつつ(恐らく以前、見た時は狂言装束だったカモ。記憶曖昧w)、なんだかハムレットの父の亡霊を思い出すやんけ(お色、全然違うけどw)とも思いつつ、鬼の面を着けてるので、お顔は拝見できなくても(ハムレットで充分観たやんw)、久しぶりの狂言ボイスと美しい所作を堪能してまいりました(萬斎さんの飛び返り好きなんだよなー)。

以前、姫鬼を演じてた飯田さんは、今回は為朝役ということで、貫禄バッチリでした。

そして、狂言座で親鬼を演じた内藤さんが、今度は姫鬼に挑戦。どちらかというと男らしい方なので、泣き方が「エ゛ーーンッ!」って感じで、ちょっとダイナミック(笑)。これはパパ鬼も手を焼きそうw

てか、姫鬼のあの可愛らしさは何なんでしょうね?
毎回、登場した瞬間から観客のハートを鷲掴みしますからねww

確か「首引」は終わり方が2パターンあったと思うけど、今回はパパ鬼が姫鬼に寄り添って退場する、ほっこりver.でした(まぁ、大体はこっちなのかな)

以前、萬斎さんの解説で言ってたことを思い出してじわじわしてるw
眷属も皆、赤髪ってことは…🤔

能「熊坂」(宝生流)

僧・熊坂長範:水上優
   旅の僧:舘田善博
   所の者:石田幸雄

笛 :栗林祐輔
小鼓:住駒充彦
大鼓:佃良太郎
太鼓:林雄一郎

後見:田崎隆三  佐野弘宜

地謡:大坪喜美雄 東川光夫
   渡邊茂人  東川尚史
   内藤飛能  金森隆晋
   田崎甫   今井基

*・*・*

五番目物。盗賊の首領・熊坂長範が、旅僧の前で牛若(後の源義経)に討たれた無念を語る、夢幻能です。

俗に能は悲劇、狂言は喜劇と言われるように、お能の演目には、ヒーローではなく、あえて敗者に焦点を当てて、その悲哀を通して人間の影の部分を描くものが、いくつかあるわけです。

ん?敗北する者……退治される者……🤔

……。

……。

エ…じゃなくて、クローディアス……ッ!🧛‍♂️

…まだハムレットの余韻からは抜けれなさそうだ(爆

話を戻してw

田崎甫師の解説によると、前シテ(僧に化けてる熊坂の霊なので直面)では殆ど動きはなく、、、

「上演時間70分中、50分は準備時間です」

長ッ!!🤣www

とにかく後シテの見せ場(舞)までの準備時間が長いという。でも、お能ってそういうもんなんだと。私も事前に予習したときは、これ寝ちゃうかもしれないな(苦笑)と思いましたけど、字幕アプリのお陰で、なんとか寝ずに済みました🤣

てか、ワキ方の舘田善博師のお声がめっちゃ美声でなァ。✨✨✨
水上優師の後シテも、面をしてても聞き取りやすいお声で良かったなァと。

そうそう、それで以前、『MANSAI解体新書 その拾』のDVD(萬斎さんお得意のモノマネも収録されててオススメw)を観ていたら、萬斎さんが「観世流は押す声で、宝生流は引く声になってる」というお話をされていて、早速、宝生流のお能を観ることが出来たので、その辺を気にしながら謡を聴いていたんですけど、、、

大体、ニュアンスは分かった!w

言われてみると、確かに声を前に出すというよりは、腹にオーラを溜め込むような謡い方をしてるような気がする。なるほど、面白い!😳

狂言と違って、お能の流派による違いは、まだよく分かっていないんだけど、こういう所にも差があるのね、と。またひとつ、勉強になりました。

能楽って面白い!😆✨

▼前回の能楽鑑賞日記はコチラ

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