第17回 日経能楽鑑賞会【能楽観賞日記】#65

第17回 日経能楽鑑賞会
国立能楽堂
2023年6月29日(木) 18:00開演

第17回 日経能楽鑑賞会を観に国立能楽堂へ行って来ました。演目は万作さん、萬斎さん親子による狂言「清水」と、片山九郎右衛門師による、お能「野宮」でした。

狂言「清水」

太郎冠者:野村万作
  主人:野村萬斎
  後見:中村修一

【あらすじ】主人(演:野村萬斎)から、茶の湯で使う水を野中の清水へ汲みに行くように命じられた太郎冠者(演:野村万作)は、行きたくないので、清水に鬼が出たと言って戻ってくる。不審に思った主人は、太郎冠者が置いてきてしまった秘蔵の手桶が惜しいと、自ら清水へ行くと言い出したので、慌てた太郎冠者は先回りし、自ら鬼に扮して主人を脅す。すっかり怯えてる主人に対し、日頃から不満があった太郎冠者は更に調子に乗り、命を取らない代わりに召使いの待遇を今より良くするよう脅すのだが…。

*・*・*

実は以前、万蔵家の狂言で観たことのある演目。
鬼(偽物)に怯える主人が可愛いヤツだ~と思い出し、超絶コンビによる「清水」ちょっと楽しみにしておりました🤣

万作さんの太郎冠者は無条件で終始可愛らしかった。
お調子者のキャラクターと小柄なお姿から、何だか小動物のような可愛いオーラを感じた(←人間国宝だぞ!😂)
墓穴を掘って主人に勘付かれてしまった時の、苦い表情すらとても可愛かった🤣

一方、推し様の主はとてもカッコよくて目の保養😍になった分、偽鬼に怯える姿が可愛らしく、そのギャップが良きでした🤣
しかし鬼の正体が太郎冠者だと気付いた瞬間から、ニヤリとキツネ顔になり、いつもの萬斎さんの調子(芸風)になっていくのが印象的でした🤭

この主人は太郎冠者に騙されて怒ってるけど、ホンキで怒ってるというよりは、この二人はいつもこんな調子で毎回やり取りしてるんじゃないか、って感じられるような雰囲気で、ほっこりしました。
トムとジェリーみたいに仲良くケンカしてる、みたいな?🤭

今回も楽しませて貰いました。超絶親子コンビ最高!👍✨

今回も脇正面席だけど、ちょっと後ろの方でした。

能「野宮」

里の女/六条御息所の霊:片山九郎右衛門
 旅僧:宝生欣哉
所の者:石田幸雄

 笛:竹市学
小鼓:成田達志
大鼓:國川純

【あらすじ】旅の僧(ワキ)が、嵯峨野宮の旧跡を訪れ拝んでいると、一人の女(前シテ)が現れる。折しも今日・九月七日は、光源氏が野宮にいた六条御息所のもとを訪れた日だと言い、女は往時の様子を語り、実は自分がその御息所なのだと名乗り、姿を消す。夜になると、御息所の霊(後シテ)が車に乗って現れる。賀茂祭の車争いで源氏の正妻・葵上から屈辱を受けた時の心の傷を語り、寂しげな野宮の様子を見て感傷に浸りつつ舞を舞う。しかし、やがて彼女は再び車に乗ると、ひとり去ってゆくのであった。

*・*・*

こちらは初見の演目。片山九郎右衛門さんを観るのは、1月に観た「媽祖」以来か。

主人公は六条御息所。六条御息所といえば「葵上」を思い出すが、こちらは生霊であるのに対し、今回は亡霊ということで、なかなか興味深い演目でした。

上演時間が120分、しかも基本的に静かな曲で、舞も序之舞ということで、正直眠くなるんじゃないかと思いましたが、地謡はギリギリ寝落ちしない心地良さで、更にシテの六条御息所からは本来の気品ある淑女としての魅力が感じられ、舞も眠るどころか魅入ってしまいました。

最近は歌舞伎も見始めたせいか、お能特有の美しさを今回は特に存分に感じられて、良いもん観れたな〜、やっぱお能好きだなァと思いました。

人間、美しいものを観ると癒やされる。
私の中で歌舞伎は芝居、お能は舞台芸術なのだと、改めて認識しました。

▼前回の能楽鑑賞日記はコチラ

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