四人の男と一人の少女の物語【龍が如く5 クリア後感想】

PS4版『龍が如く5 夢、叶えし者』
http://ryu-ga-gotoku.com/ps4five/

■ジャンル:アクションアドベンチャー
■発売日 :2019年6月20日

本作は、PS3版の『龍が如く5 夢、叶えし者』を高解像度&高フレームレート化したリマスター版です。舞台は2012年12月。前作に引き続き主人公が複数居る群像劇形式となっておりますが、龍4は舞台が神室町だけだったのに対し、今作では札幌・東京(神室町)・名古屋・大阪・福岡の5大都市を舞台に物語が展開していきます。

ということで現在、龍4のプレイ記連載の途中ですが、龍5もクリアしたので取り急ぎクリア後に感じたことだけ(なんかモヤっとしたので・苦笑)忘れないうちにまとめました。

まぁスクショは撮ってあるので、細かいプレイ記は龍4のプレイ記連載が終わってからゆっくり書けたら良いなァとは思っております。

※以下、ネタバレ注意

●ゲームとしては普通に面白い

龍が如くシリーズって、ナンバリング後半になればなるほどファンのシナリオに対する評価が低いようなのですが(苦笑)、まぁそれもあってか、あまり過度な期待はせずにプレイした結果、ゲームとしては普通に楽しめました。タクシードライバーになったり(桐生編)、マタギになったり(冴島編)、アイドルになったり(遥編)と終始バラエティーに富んでおり、これらの疑似体験がゲームとしてはとても面白かったです。

ただその反面、シナリオの方はプレイヤーの意表をつく“どんでん返し”を繰り返した結果、まとまりがないというか何というか…歴代の中でも微妙なシナリオだったな、という印象で終わりました。てか、いくつか疑問が残ってしまったので、思わずファンの考察を探して読んでしまったくらい(お陰である程度内容に納得はできましたけど)。

最後の最後まで謎だった黒幕の真の目的が実の息子に全てを託すことで、その息子であるラスボスがあのキャラでしたー!って唐突過ぎて…散々全国の極道社会を引っ掻き回した割には拍子抜けしてしまい、クライマックスは少々、消化不良になりました(胸熱度で言ったら冴島VS真島戦がピークだったんじゃないかな…苦笑)。龍4は“裏切りの連鎖”でしたけど、これはこれで面白かったんですよね。ただ、龍5の“どんでん返し”の連鎖とサブタイにもある“夢を語る”シーンが、ちょっと多過ぎてしつこかったかなと感じました。

●いろいろ考えさせられるエンディング

当時としては、その後の展開はご想像にお任せってことなのでしょうか?(結局あの直後、桐生と遥がどうなったのかは龍6で描かれるわけですが…)ご想像にお任せって描き方はキライじゃないので良いのですが、結局ラスボスのせいで消化不良を起こしていた&龍6のあらすじを知っていたため、若干FF13-2の悪夢を思い出してしまいました(苦笑

てか、桐生さん何回死にかければ気が済むねん!(爆

龍3でもラスト刺されて死にかけたじゃないですか。正直、新鮮味が無くまたか…って感じだったんですよ。あぁ、もう桐生一馬の物語を描くのにネタがなくなって来てるんだなと感じちゃいましたよね。そう考えると龍6までよく頑張ったな、粘ったな、と思います。

あと遥が一番大事なものに気づいて、デビューと同時にアイドルを電撃引退するわけですが、桐生さんも四代目を襲名と同時に引退してるので、ある意味、似た者親子だったんだな、と(苦笑)。

正直、遥がやった行動は、今まで支えてきてくれたスタッフやファン、そして共に戦ってきたライバルたちへの裏切り行為です。周りの人間がデビューしたら元の生活に戻れなくなると散々忠告してくれてたわけですから、遥のことを自分勝手過ぎると怒りを覚える人も居ることでしょう。ただ、遥がまだ16歳の少女と考えると、まだまだ世間知らずで未来に対する考えが浅はかでも仕方ないのかな、と思いました。

●魅力的なキャラ作りは相変わらず上手い

…とまぁ、ここまで少々辛口に書いてきましたが、今作の登場キャラクターは皆、魅力的で、こういうキャラ作りは相変わらず上手いなァと感心してしまいました。また初めてプレイした龍シリーズが『維新!』ということもあり、見たことのあるキャラクターが多かったのも、すんなり受け入れられた要因かと思います。てか、今もう一度『維新!』をプレイしたら、それはそれで楽しめそう。

特に主人公の中でも新キャラクターとなる品田辰雄(CV.森川智之)は、風俗ライターという設定もあってか、プレイ前はあまり興味がなかったのですが、実際にプレイしたら森川さんの演技も含めて魅力的で、凄く好きになっていました。性格がどちらかというと、ちょっと春日一番寄りですよね。なんかこう、愛嬌あって憎めないタイプの人間でした。

主人公の中で唯一新キャラのせいか、シナリオやラスボスの相手がちょっと無理やり感があったような気もしますけど(苦笑)、大吾さんの新たな魅力を引き出してくれたキャラでもあるので、とても気に入っております。

そして、品田の相棒となる哀川翔さん演じる闇金融の男・高杉浩一。品田を追い詰める怖い男かと思いきや、愛嬌もあり思わずアニキと呼びたくなるような見た目と役柄。金貸と債務者という意外なコンビで探偵じみた仕事をする展開がとても面白かったです。ちなみに龍オンコラボイベントでも二人のシナリオが見れたので嬉しかったです。てか、この二人を主人公にして、もう一本探偵モノのゲーム作っても面白そうw

あと龍7にも登場した渡瀬勝(CV.西凜太朗)ね。やっと彼のことをちゃんと知ることが出来たわけですが、めちゃくちゃ魅力的な極道じゃないですか!!これは人気出るわ、うん。昔ながらの極道はやっぱカッコ良く描かれてますね。彼が龍7で大吾と協力し、警察の犬になる前に東西の極道組織を解散させる決断に至ったのも納得できます。ラスボス並の貫禄があるのにラスボスじゃなかったのが意外。でもそのお陰で龍7に繋がったのかもしれないけれど…。

●朴美麗という女性

賛否両論いろいろ言われている芸能事務所社長・朴美麗(CV.朴璐美)というキャラクター。あの真島吾朗の元妻という設定は知ってたのですが、具体的にどういう女性かまでは知らなかったので、それを見定める気持ちで遥編はプレイしておりました。まぁ多少嫉妬はしますけど(爆)、もう別れてるし、しかも作中に死んじゃうし…ってことで過去として割り切れてるので、そこはまぁ。とにかく推しである真島さんが選んだ女性なんだし、あまり悪くは言いたく無いなァって気持ちもあったのでね…。んで、実際にプレイしてみて、、、

確かに、第一印象は悪い(苦笑)。

言ってることは正論もあるものの、やってることがヤクザで、流石、元極道の妻って感じ(爆)。まぁ、それくらい強気で居ないと芸能事務所の女社長なんて務まらないのかもしれないけれど。もし真島さんと夫婦のままで居たら、今頃、堂島弥生姐さんに負けず劣らずの極道の妻になっていたかもしれない。そう考えるとある意味、真島さんは身の丈にあった女性を選んだことになるのか?(マコトは極道の妻ってタイプじゃないもんね)

ただ、物語を進めていくと気の強い反面、遥に対して母親のような優しい一面を見せてくれるようになります。そして、遥もそんな朴社長のことを信頼し受け入れてる姿を見て、あぁ、遥は無意識に母親の存在を求めていたんだと感じました。遥にとって桐生おじさんが一番には変わりないけど、彼は流石に父親にはなれても母親の代わりにはなれないし、何より、アサガオの中では遥自身が皆のお母さんになってしまっていたからね…。

遥自身がアイドルを夢見る描写がないため(なんで入れなかったのか謎)、最初は朴が遥に自分の夢を押し付けてるだけなんじゃないかと思ったけど、龍2でスカウトされた時と違って、遥は朴と桐生の会話に口を挟むことはしませんでした。つまりそれは遥も年頃になって、少なからず芸能界に興味があったのでしょう。遥と朴は同じ『夢』を見て絆を深めていきます。

そして明かされる、朴と真島の結婚時代の話。てか、朴さんが18歳でデビューする前に結婚してたということは真島さんは、未成年に手を出したってこと。ここはちょっとモヤモヤポイントでしたね(苦笑)。朴さんは親に恵まれなかったし、真島さんも天涯孤独だからお互い早く自分だけの家族が欲しかったのかな。てか結婚生活はどれくらいだったのだろう。ネットで拾った情報だと1992年に出会って結婚するが離婚と書かれてるんだけど、秋山が朴の現在の年齢を40過ぎて…と言ってた記憶があるので、1992年に結婚だと計算が合わないんですよね。だとすると、それよりも前に出会って結婚し、1992年に離婚って考える方が自然なのかな??

この後、真島さんが朴に宛てた手紙が原因で、朴は自殺に見せかけて殺されてしまいます。実はここもずっとモヤモヤポイントでした。過去にマコトを命がけで守った男が、元妻を危険に晒すようなことをするかね?と。ただ、物語を進めて行くと、身を隠してた真島さんに代わってグイグイ行動を起こしていたのは二人の共通の友人である勝矢の方だと分かります。黒幕を引き摺り出すためとは言え、勝矢のせいで遥も危険な目に遭いました。…となると、これらの作戦を主導で計画してたのは勝矢の方だったのではないでしょうか?勝矢は朴の死に関して悔しさを滲ませていたと秋山に指摘されていたことから、朴も遥も危険に晒す代わりに勝矢が影で守る気で居たのかもしれません。

一方、元妻が死んだというのに、真島さんがそれに関して言及する場面は一切ありませんでした。勝矢と朴との出会いも第三者が説明して終わり。勝矢と真島が顔を合わす場面はあるけど台詞は一切ナシ。まぁ、5人主人公のシナリオで量も膨大なので、3人の絆について詳細を語るシーンを入れるのは難しかったのでしょう…。今作はプレイヤーの意表をつく為の“どんでん返し”の連鎖に気を取られて、シナリオの細かい部分に対する丁寧さが失われてしまった印象があります。

まぁ、その代わりと言っては何ですが、昨年の龍オンのお正月イベントでは、真島さんが結婚指輪を大切に保管していたことが判明します。見た目に反して中身は繊細な人なので、決して表には出さないけど、ひっそりと元妻の死を悲しんでいたとは思います、えぇ。

最後に朴美麗についての印象をまとめると「可哀想な人だな」と思いました。家庭環境が原因で愛に飢えた結果、夫からの愛もファンからの愛も両方手に入れようとして全てを失い、アイドル時代の夢を志半ばで諦めることになった。だから今度はその夢を遥に託すものの、遥がドームのステージに立つ姿を見ることなくこの世を去ることになってしまった…。ヤクザの元夫と友人を持ってしまったばかりに陰謀に巻き込まれてしまった。

だからなんだろう、嫉妬はしても(苦笑)嫌いにはなれませんでしたね…。

©SEGA

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