高校遠足以来の鎌倉にて①【能楽観賞日記】#25

能を知る会 鎌倉公演・朝の部
鎌倉能舞台
2022年10月18日(火) 10:00 開演

「能を知る会」を観に、観世流シテ方の中森貫太先生の本拠地である鎌倉能舞台(神奈川県鎌倉市)へ初めて行ってきました。145席(2022年度版)の小さな能舞台で、同じ神奈川県民としても一度行ってみたいと思っておりました。ちなみに公演がない日は、能舞台の客席を改装したカフェ「能舞台茶寮〜神楽」としてオープンしているそうです。素敵です😌

鎌倉能舞台の見所(けんしょ)の床はカーペット敷きなので、玄関で靴を脱いで上がるかたちとなります(玄関に下駄箱があります)。舞台上部には、能楽堂の舞台にあるような立派な屋根がないので、まさに『能舞台』って感じの場所でした。

舞台と見所の距離がかなり近いため、演者を至近距離で観れることはもちろん、演者の生声が能楽堂で聴くよりも、よりリアルでダイナミックに聴こえ、あぁ、これは癖になりそう…と思いました(笑)。鎌倉能舞台、また行きたい。。。

ちなみに「能を知る会」は自由席と指定席(+1,000円。要電話)があって、いつもは指定席にしてるんだけど、今回は行くと決めたのがギリギリだったこともあり、面倒だったのでイープラス(自由席)でポチッとしちゃいましたーw(まぁ、初めて行く場所で見え方も分からんしな…)

正面席と脇・中正面、共に前方のお席は指定席で埋まってたので、朝の部は、個人的ベストポジションである脇正面3列目の目付柱寄りから観賞することにしました。この日のチケットは完売とのことでしたが、前のお席がたまたま空席(諸事情で来れなくなったんでしょうね…)で、観やすくなっていたのはラッキーでした。

解説「曽我兄弟の能 平忠度・工藤祐経」

まずは貫太先生の解説から。この日はツレのある演目を選んでいることから、朝の部・昼の部共通で、ツレやワキの重要性について語られていました。昔はお殿様(素人)がシテを務めることがあり、お殿様に恥をかかせないよう、ツレやワキが玄人としてしっかりシテを支えなければならなかった。今ではシテより下に見がちだけど、ツレやワキも重要なポジションなんだよ、という内容でした。

狂言「薩摩守」

 シテ/船頭:野村萬斎
  アド/僧:野村裕基
小アド/茶屋:内藤 連
    後見:中村修一

【あらすじ】天王寺へ参詣する途中の僧(演:野村裕基)が、茶屋(演:内藤連)に誘われるまま茶を飲んだは良いが、茶が有料なことを知らず、実は無一文で支払えない。世間知らずの僧に呆れつつも、人のいい茶屋の店主は僧から代金を取らず、さらに神崎の渡守(演:野村萬斎)は秀句(洒落)が好きなので、平家の武将忠度が『薩摩守』である事を利用し、「船賃は薩摩守」その心は「忠度(ただ乗り)」と答えれば、船賃をタダにしてくれるだろうと教える。その後、実際に僧は神崎の渡しで船に乗り、対岸に着いた僧は教えの通りに秀句を答えようとするが・・・。

*・*・*

無賃乗車をさす俗語「薩摩守」が、狂言があった時代から存在していたんですねぇ。

事前に他のサイトで見た解説では、公演形態によって、僧をシテとする場合と、船頭をシテにする場合とがあると書いてあり、今回は萬斎さんが船頭役なのでシテなんだろうけど、見た感じ台詞量といい、僧のキャラクターといい、この話は僧がシテの方がしっくりくるなァといった感じ。

僧が何も考えずに船に乗ろうとして、船頭と共にバランスを崩す演技なんかは親子の息がピッタリで笑っちゃいました🤣

ラストは僧が秀句のオチを忘れてしまい、船頭を怒らせてしまうんだけど、その時の「やってしまった」感たっぷりの裕基くんの表情がリアルに感じたのは気のせいか?🤣

先日、釣狐の披キ(←仕事で見れなかった・涙)を終えたばかりの裕基くんの姿を生で拝見するのは、今回が初めてでしたが、自信をつけたのかより一層輝いて見えました(師匠からの評価はどうだったか知りませんがw)。最近の裕基くんは観る度にレベルアップしてるような気がするので、今一番、いろんなものを吸収してる時期なのかもしれません。将来が楽しみな狂言師のひとりです😌

能「小袖曽我」

シテ/曽我十郎祐成:観世喜正
ツレ/曽我五郎時致:中森健之介
ツレ/母:新井麻衣子
ツレ/鬼王:久保田宏二
ツレ/團三郎:石井寛人
アイ/乳母春日局:飯田豪

【あらすじ】建久四年の五月中旬、曽我十郎祐成(シテ)とその弟、五郎時致(ツレ)は、源頼朝が富士にて催す巻狩の場を利用し、父の仇・工藤祐経を討つ決心をした。ふたりは五郎の勘当の許しを願う為、曽我の里に住む母(ツレ)を訪れるが、私意で箱根の寺を出、還俗した五郎の面会を許さず、重ねて勘当を言い渡す。十郎は母に五郎の誠心を綿々と伝えるが、母がなお許さない為、十郎は怨み言を言い残し、泣く泣く立ち去ろうとする。すると母はたまりかねて二人を呼び止め、五郎の勘当を許す。
かくして名残の酒宴が開かれ、兄弟は相舞をして母を慰める。そして母に別れを告げ、勇んで狩場へと出で立つのであった。

*・*・*

英雄伝記物語『曽我物語』を題材にした現在能です。昔、映画にもなってて、たまたま東映時代劇YouTubeで見かけて予告編だけ観たんだよな(笑)。だから凄いイメージしやすかったです。曽我兄弟とその母親(しかも女性の能楽師さんだったのでリアルだった)のドラマが熱くて、すっかり魅入ってしまったし、全く眠くならなかった!😳

観世喜正さんと健之介さんの組み合わせも、どちらも好きな能楽師さんなので良かったです。てか、私が観る喜正さんの演目、直面(ひためん)率が高いw

良いお能でした☺️

珍しく食べ物の写真をとったw

ここで一旦お昼休みへ😋(昼の部へつづく)

▼前回の能楽鑑賞日記はコチラ

▼前回観賞した「能を知る会」はコチラ

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