マーシー・シート

プログラムとブロマイド買っちゃった♪ みきしんカッコいい〜〜!
けど、三木さん演じるベンという男は、どうしようもないダメ男です。

 

 

日本初演二人芝居「マーシー・シート」

出演:名取裕子×三木眞一郎
作:ニール・ラビュート  演出:倉本朋幸
会場:シアタートラム
日程:4月13日(水)~17日(日)

 

本作は、日本初演となる、ニューヨークを舞台にした男女の二人芝居です。2001年9月12日未明。9,11 テロ事件の翌日。 NYにある、女のアパートの一室。女はアビー。キャリアウーマンにして出世街道まっしぐら。一緒にいるのは一回り程年下で、ビジネスマン、自分の部下であり恋愛関係にある男、ベン。ベンには妻子があり、二人は不倫関係にある。たださえ苦しむ関係であるのに、アビーはある種の「パワーハラスメント」と世間にとらえられることにもおびえている。そしてあのテロ事件の時、仕事を抜け出し、たまたまこのアパートで密会していたため、事件に巻き込まれなかったのだ。ベンの家族は、当然、ベンの消息を心配して何度も携帯に電話をしてきている。しかし、ベンは出ない。ベンは言う。きっと家族は自分が死んだものと思っている。これは新しい人生への「招待状」だ。このまま二人で、どこか知らない州へ逃げて行けば、家のローンや様々なしがらみにとらわれず、二人でやり直せる。 砂塵舞い、遠くにサイレンが響き、騒然としている屋外の様子を背景に、静かな室内での男女の揺れる心理描写を、セリフ劇で綴っていく。極限の中でのエロチシズムと、究極の愛と、選択。古今東西における男女の普遍のテーマ。
最後にアビーが選択したのは・・・

 

久しぶりの観劇。4月16日(土)の回を観てきました。
前から二列目のど真ん中という良席でした。

 

冒頭でも言いましたが、三木さん演じるベンという男は、どうしようもないダメ男。自分は悪者になりたくないのだろう、テロ事件を利用して過去(家族)を捨てようとしてる。そして、その新しい人生を愛人にも強要している…。

ある意味人間臭い、保守的で自分の都合しか考えてないダメ男。
そのダメ男を見事に演じきっていました。

 

そして、そのダメ男を見捨てきれず、キャリアも捨てきれずに居るのが、名取裕子さん演じるアビー。本当に惚れていたのなら、何もかも捨ててベンと一緒に駆け落ちでも何でもすればイイ。でも、それが出来ないのは、アビーにも良心があり、罪悪感があり、何より愛や倫理面で相手に疑問や不信感があるから。

結局、アビーはベンがダメな男だと頭では分かっているのだ。そう、頭では…。

 

ある意味、ベンとアビーは似た者同士だろう。

キャリアを捨てて一緒に新しい人生を歩んでほしいという、ベン。家族から逃げるのではなく、家族と向き合う事で、自分への愛を証明して欲しい、アビー。話し合い(芝居)は約2時間近くあり、二人は休憩無しで喋りっぱなしである。よく台詞を覚えられるな〜と感心してしまう。

特にベテラン女優の名取裕子さんの演技が、圧巻で素晴らしかった。

年上・上司役ということもあってか、名取さんの見事な演技で、三木さんをリードしていたようにも感じる。三木さんもベテラン声優なので喋りの演技は負けてませんでしたけどね。ただ、やはり身体全体を使う舞台に置いては、名取さんの方が上だと思うので。

時折、過激な言葉が出て来たりラブシーンがあったり、ちょっとドキドキしたけど///

名取さんも三木さんも長身なので、見た目のバランスも良く、素敵でした。
いやぁ〜すごい大人の男女の世界だった///

ちなみに三木さんは、最初の方でちょっと携帯を持つ手が震えてた気がするw
緊張すると手に現れるからなぁ、みきしん。(‘ω’)

 

結局、二人の間にあるのは愛というよりも欲というか、お互いの腕の中が居心地いいから依存し合ってるだけのようにも見えた。ベンは娘に嫌われたくないので、愛人と家族を天秤をかけた結果、家庭を選ぶ。倫理上、この決断にはホッとした。

…のだが、結局ベンは自分の人生なのに、これからどうするべきか再び悩んでしまう。(家族はベンはテロに巻き込まれて死んだと思ってるだろうからね)

自分の事を自分で決めれない、とことんダメな男なのである。

アビーは、そんな彼を見限って部屋を出て行くが・・・
この二人は本当に別れることが出来たのだろうか?全てはアビー次第なのである。

 

*・*・*

 

ということで、最近、芸能界の不倫スキャンダルが多いせいか、まずは不倫についてちょっと考えてしまいました。自分が泥被って悪者になる覚悟も無いなら不倫なんかしちゃダメです。えぇ。相手を本当に好きなら全て清算してからが筋ですわ。えぇ。

そして、9.11 テロ事件。日本では阪神大震災や東日本大震災がありました。さらに、つい先日、熊本でも大地震があり、今も尚、大きな余震が続いて死傷者が増えている状況です。(熊本の震災については舞台終了後、名取さんが辛そうにお見舞いの言葉を言っておりました)

幸い、こちらは関東なので影響を受けておりませんが、連日報道される被害の様子を見ていると、東日本大震災を思い出して辛いです。

 

当たり前の日常が突然奪われた時、難を逃れたものの罪悪感に襲われた時、人間はどういう行動を取るのだろう。何をするべきなのだろう。

人間って、いつも大切な何かを失ってから気付くんだよね。
今の自分に本当に必要なものが。

 

あと、考えたことがもう一つ。

もし、ベンのように人生を真っ新にリセットできる機会があったら?
自分の犯した罪も罰も捨てて、過去を無かったことにして、違う人生を歩む?

完璧主義な所が有る故、子供の頃はよくファミコンのリセットボタンみたいに、人生もリセットできたら良いのにとか思ってたけど、今日の舞台を見て、答えはNOだな、と思った。

結局、人生を決める大事な局面で、過去や罪から逃げても何の解決にもならない。
例え過ちを犯したとしても、それも含めて自分の人生だから。

今の自分があるのは、過去の自分があるからで、無かったことには出来ない。

良い事も、悪い事も、楽しい事も、悲しい事も、辛い事も全て抱きしめて、一日一日を悔いの無いように過ごしていくのが「未来」にとって一番良い方法なのだろう。

なんか、一日で色々考えてしまったな。
でも、たまにはこんな日があっても良いと思う。うん。

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