FFX歌舞伎の感想、続き 〜時々でいいから、思い出してください〜【歌舞伎観賞日記】#1.5

新作歌舞伎『ファイナルファンタジーX』を観てきた話。
前回の記事の続きです。

<目次>
■私のFF歴について
■IHIステージアラウンド東京について
■衣装について
■シナリオ・音楽について
■演出について
■各キャラクターについて

私のFF歴について

中学生の頃、FF7でFFシリーズにハマる。
以降、オンライン以外のナンバリングは一通りプレイ済み。
MY TOP3は、FF7、FF15、FF10。

でも今回の歌舞伎化をキッカケに改めてFF10に触れてみて、良い物語だなァと自分の中で再評価されました。時代の流れで、FFシリーズで初めてボイスがついた作品だったのですが、それまでは足りない部分を想像力で膨らませてプレイを楽しんでいたので、映画のようになっていくFFシリーズに対しては、当時は正直不安の方が大きかったです(映画が観たいんじゃない、ゲームがしたいんだ!的なw)。

実際にFF10は、発売当時と『ディシディア ファイナルファンタジー』というお祭り作品が出た時に懐かしくなって再プレイした時の2度しか遊んでいません。やり込みまではしませんでした。

それでも、ティーダとジェクトの親子のくだりと、エンディングには号泣しました。FF10は最高の泣きゲーでした。FFシリーズで初めて『FFX-2』という続編が誕生した経緯から、シリーズの中でも人気が特に高いことはお分かり頂けるかと思います。FFシリーズは映像美だけでなく、シナリオの評価が毎回高いのです(それ故にドラクエシリーズに比べてちょっと小難しい作品でもあります・苦笑)

今回、舞台観劇にあたって、HDリマスター版にて再プレイしましたが、他の事で忙しくて当日までに最後までプレイできませんでした。FFX歌舞伎のシナリオで言ったら後編の最初の方くらいまでで止まってます(苦笑)

なので、残りの部分は、あの素晴らしい舞台を思い出しながらプレイしていきたいと思っております。

IHIステージアラウンド東京について

初めての場所だったので、チケ取り前に検索をかけてみた時、まぁ評判の悪い事、悪い事!(苦笑)
前の方でも視界が悪いだの、機材がたまに故障してるだの、周辺に飲食店も何も無いだの、観劇経験者で良い事を書いてる人が見つからないのよ!(爆)そのお陰で、後方のお席を買って見えないと悲しいからって、思い切ってSS席を買う覚悟はついたけど🤣正直、なんでこんな所でやるんだろうと思ったね。

でもね、、、

公式「上演時間は9時間です!」
お客「尻が死にます!」
公式「全席にプロテスクッションを敷きます!」

お客「豊洲って、周辺に何も無いじゃん」
公式「当日はキッチンカー出します!事前予約のお弁当もあります!」

なんて素晴らしい、おもてなしの心!👏👏👏
プロテスクッションはマジで有能でしたし、キッチンカーのメニューも日替わりですが美味しかったです😋

FFXをイメージした限定のドーナツとドリンク(美味しかったです😋)

そして、何より大きなトラブルなく終えたこと。
よって悪評もほぼ聞こえてこなかった。

つまり、それだけ今回はステアラの使い方が上手かった、ということではないでしょうか?

座席が回転する感覚も、なんか遊園地のアトラクションみたいで面白かったです。主に船や飛空挺での移動シーンで動いてたので、ティーダたちと共に乗って移動してるような感覚でした。これだけでも使い方が、本当に上手いと思う。

衣装について

キャラクタービジュアルが発表された時、上手い事、和装に落とし込んだなァと思いました。むしろ原作も最初からこの衣装だったんじゃないの?ってくらい違和感がありませんでした。なので、FFX歌舞伎のビジュアルに慣れた状態でゲームを起動すると、ルールー姉さんに対しては目のやり場に困ります(笑

シナリオ・音楽について

いくら大長編歌舞伎、と言ってもゲームのシナリオ全てをそのまま描くには時間が足りません。でも違和感なく、上手いこと省くとこ省いて繋げてましたね。何より名場面は全部抑えてますから、満足度は高いし、プレイ済みの人は懐かしい気持ちになれます。

逆にFFX初見の人たちには、どう映っていたのでしょうか?普通の2.5次元の舞台を観たときは話が駆け足に感じる事が多いのですが、FFX歌舞伎に関しては、そうは感じなかったので、この物語の素晴らしさが伝わってると嬉しいです(そして、是非ゲームをプレイしてみて欲しい)。

リュックとの出会い方だけ、大きく変更になっており、プレイ済みだと唐突感も感じましたが(笑)、その分、リュックとユウナの関係が分かりやすくなってました。

音楽は、名曲の『ザナルカンドにて』の和楽器アレンジが、心震える出来で想像以上の素晴らしさだったんだけど、流石にこれは無理かなと思ったメタルな曲『Otherworld』までアレンジされてて驚き。正直、思い出補正もあって原曲をアレンジが超える事ってなかなか無いんですが、和楽器アレンジは本当に素晴らしかった!歌舞伎用にオリジナルのBGMを作るのではなく、原作の音楽を極力活かしてくれたのも嬉しかったです。とりあえず、公式は今すぐ歌舞伎版のサントラを出しましょう!スクエニMUSIC頼む!!

演出について

演出に関しては、ステアラと23代目オオアカ屋さん(前説)の使い方が上手かった!これに尽きる(笑

最初から歌舞伎色全開ではなくて、観客が世界観に慣れてきた後編に入ってから義太夫を取り入れてるのが、上手いと思いましたね。クライマックスに向けてあらゆるものが加速していく感じが良かったです。歌舞伎入門編に相応しい作品でした。

名場面のオンパレードなので、全部好きなのですが、中でも特に初回のシーモアバトルとユウナレスカ戦とラストの召喚獣バトルがお気に入りです。ほほう!そういう表現できたかー!と、バトルシーンはやはり熱くなっちゃいますね!

中でも召喚獣バトルでは、擬人化された召喚獣がデザイン含めとても素晴らしかったです。みんなで毛振りは圧巻でした。ヨウジンボウさんだけ笠被ってて毛振りができないせいか、ポーズがみんなのリーダー感あってアレはアレで良かったですw

各キャラクターについて

全員に共通して言えることは、各キャラクターが、あの豊洲ピラで“生きていた”ということ。再現度が高いってレベルではなく、歌舞伎版になってもティーダはティーダだったし、アーロンはアーロンだったし、シーモアはシーモアだったし・・・(以下略)全キャラクターがそこに存在していました。メインキャラだけではなく、脇役だった皆さんも含めて。

あとモンスターと、グアド族、ロンゾ族など、人間以外の造形の再現度が高すぎて圧巻でした。マジでゲームの世界からそのまま飛び出してきたかのようなクオリティでした。👍✨

カーテンコールでの撮影会の様子
●ティーダ:尾上菊之助さん

ビジュアルが解禁された頃に比べると、ティーダのブルーの瞳を強調したかのようにアイメイクが濃くなってて、歌舞伎らしさが増し、ビジュアルは文句無しにとてもカッコ良かったです。目の下にラメが入ってたから、科白によってはホントに泣いてるように見えるんだよねぇ。👍✨

私は声優の森田さんのお名前を見かける度にティーダを思い出すんだけど、それと同じくらい、私の中では菊之助さんもティーダになりました。科白の言い方も、ちゃんと青臭い少年のティーダになっていて、菊之助さんの実年齢を考えるととても不思議な感じ。年齢問わず、場合によっては性別も問わず、何にでもなれてしまう辺りが、現代劇にはない古典芸能役者の面白いところなのかもしれません。

あと、こんな素晴らしい舞台を生み出してくれた菊之助さんは、私の中では“神”です(笑)推しを通り越して“神”になりました。👍✨

もし、菊之助さんがステイホーム中にプレイしたのが、FFXではなく、FF7とかFF8だったら歌舞伎にしようと思っただろうか?正直難しかったと思う。シリーズの中でも特にアジアな要素が入ってるのがFFXだったので、FFXが選ばれたのは運命だったんだと思う。

●アーロン:中村獅童さん

獅童さんを生で(しかも目の前!)拝見できる日がくるとは…✨

獅童さんは声優のお仕事もされてるので、龍が如くファンでもある私は、今回お姿を拝見できてとても嬉しく思いました。でも獅童さんは結構客席を見ているような気がして、目が合うのが怖くてあまりガン見できませんでした(別に獅童さんが怖いのではなく、普段から推しに対してもそうなんですよ。ただのビビリなんです・苦笑)

にしても、この方はキャラによって声の印象がガラリと変わりますね。今回は本当にアーロンそのものでした。私はFFXにおいて推しキャラが特に決まっていないのですが、あえて挙げるならアーロンかなと思ってました(オッサン好きなのでw)。獅童さんのアーロン、イメージピッタリでした!もし再演があったら、また演じて欲しいです。

ちなみに千穐楽では、ティーダと二人きりのとあるシーンで感極まって次の科白がなかなか出てこなかったようですが、私が観た二日間のうち、二日目も感極まって、ちょっと間が空いた時がありました。バトル後で汗だくになっておりましたが、その汗の中には涙も滲んでいたのかもしれません😭

●シーモア:尾上松也さん

今回、私の心を一番奪って行った人(爆www

原作プレイ時は、変な髪型だし、ヒロインの唇を主人公よりも先に奪うし、しつこいし、けしからん奴だ!(プンプン!)って思ってたのに、松也さんが演じると、ストーカー気質ながらも妙な色気があって最高でしたww

シナリオ面ではシーモア親子の掘り下げがあったのも良かったですね(あの父親、本編だけみると被害者感ありますけど、過去を見てるとクソですね!w)。闇落ち前と後の演じ分けもお見事でした。てか、なんであんなセクシーなお声出せるの?原作の諏訪部さんのお声とは、また一味違った魅力がありました。

こちらも、もし再演があったら、また演じて欲しいです。
てか、全員続投してほしいんですけどね!もう完璧すぎて。

●ルールー:中村梅枝さん

ちゃんと、ユウナを見守るお姉さん的存在になっておりました。
流石ガチ勢、よく研究されてるなと思いました。

今回は女方の皆さんのハマり具合が凄かったんだけど、梅枝さんのルールーもそのひとり。お声も、所作も、視線の使い方も、美しい人だなァと思いました。なので、今後も注目していきたい歌舞伎役者のひとりになりました。

●ルッツ・23代目オオアカ屋:中村萬太郎さん

23代目オオアカ屋が出るって最初に聞いた時、そんなに本編に絡んでくるキャラだったっけ?🤔と思ったら、歌舞伎のいろはを教えてくれる前説担当だった!ってことで、これは上手いこと当てはめたなと思いましたね。萬太郎さんも盛り上げ上手で、出だしの掴みはOK!って感じでした。出てきた瞬間、好きになっちゃいましたもんw

本編ではルッツとして登場。ワッカとの絡み(優勝トロフィーを持ち帰るシーンの演出は日替わりっぽい)も最高でした。普通に、演技上手いなァと思いながら見てました。

梅枝さんとは兄弟だそうで(最近知ったw)5月の歌舞伎座、そして7月には兄弟揃って巡業があるとのことで、こちらも楽しみにしております。

オオアカ屋さんのお陰で、出だしから歌舞伎との距離感がググッと縮まったので、これからは古典歌舞伎も観に行きますよ〜!👍✨

なんかカッコイイの撮れてたw
●ユウナ:中村米吉さん

この人が居なかったら、FFX歌舞伎は成り立たなかっただろう、と言っても過言ではない。どこからどう見てもユウナでした。異界送りのPVを観た時も感動したけど、舞台上で生で観るユウナはもっと可愛かった。ロッドを持つ手も小さめで女性的。休憩時間には、男性客が「ユウナ可愛いんだけど、この気持ちどうしようw」と語り合ってるくらい、ユウナでした、えぇ。

父を尊敬し、命を掛けて愛する世界を救おうとする健気な少女が、確かにそこに居ました。あまりのリアリティに、ゲームをプレイしてる時以上に感情移入してしまい、ユウナが仲間宛のメッセージをスフィアに残すシーン(所謂遺書だよね)では、思わず涙してしまいました。

でもこの物語の真相は、最後まで旅を続けた結果、消えたのはユウナではなく・・・ってところが、衝撃的で、儚くて、切なくて、プレイヤーの心を掴んで離さないんですよね。

『いなくなってしまった人たちのこと、時々でいいから…… 思い出してください』

これは初めてゲームをクリアした時から、今だにずっと忘れることのできない、心に残ったユウナの科白です。もちろん歌舞伎版でもこの科白は健在です。

●ワッカ:中村橋之助さん

公式の動画で、素の状態の時からリアルワッカだなァと思ってましたww
お声もかなり似てるし、舞台上でもワッカそのものでした。

武器のボール捌きがお見事でしたねw
歌舞伎は黒衣さんが居るから表現も自由自在な気がする。

●ティーダ(幼少期)、祈り子:尾上丑之助さん

菊之助さんのご長男ということで、親子で同じ役をやるとは上手いこと考えたなと思いましたが、実際の舞台を観たら、発せられる科白に重みが感じられて驚きました。子役ではなく、もう立派な役者なんだなァと感じました。菊之助さんには、こんなにも素晴らしい息子さんが居たんですね。今回拝見できて良かったです。

●リュック:上村吉太朗さん

FFXと同じ年に生まれたという吉太朗さん。同じくリュックもパーティメンバーで最年少なので、上手くハマって居たのでは無いでしょうか。今回は本当にキャスティングが上手いし、何より歌舞伎役者という制限がある中で、全員キャラに似てる人物をよく見つけてきたなと思います。舞台上でもSNSでも賑やかし担当ということで、いつも素敵なお写真ありがとうございました!👍✨

関西系の方のようなので次に拝見できるのは、いつ日になるのやら…
雷怖がるリュックが可愛かった💕

●ユウナレスカ:中村芝のぶさん

圧 巻 で し た ッ !!

芝のぶさんは他のお役でも、ちょいちょい出てるのですが、メインのユウナレスカ様は本当に圧巻でした。観劇する少し前に、20年くらい前の野村萬斎さん主演の『ハムレット』のDVDを観ており、その時、オフィーリア役で出ていた芝のぶさんの可憐な姿に釘付けになっていたのですが、この演技の幅の広さに、女方としてはもちろん、いち役者としても一目置く存在に。

これからも追いかけて行きたいです。
もっと芝のぶさんの女方が観てみたい!

●キマリ:坂東彦三郎さん

まず、公式の動画などで拝見していて「お声がイイナ」と思っておりました。そしてゲームを再プレイ中、キマリがやっと喋ったな、と思ったと同時に、お声がソックリでびっくりしました!(笑

最初、こんなスマートな方がキマリを???と思っていたのですが、キャスティングの決め手は声だったんでしょうか?唯一残念なところがあるとしたら、凄くイイお声なのに、キマリは無口だということです(苦笑

●ブラスカ:中村錦之助さん
●ジェクト:坂東彌十郎さん
●シド  :中村歌六さん

FFXメインキャラのパパたち。
凄い貫禄があるのと同時に、皆さん本当にソックリで。

中でも錦之助さんはブラスカにお声も似てました。
ご本人様も、ちょっと若さを意識して声を発していたのかな。

シドの性格は歌舞伎と相性が良かったかもしれませんw

ジェクトは原作以上に貫禄があり、もし原作通り巨大化(モンスター化)してたら勝てなかったかもしれませんw

その代わり演出が、幼少期ティーダを巻き込んで、とても素敵なことになっていて、本当はこういう親子関係を築きたかったんだろうなと思ったら、涙涙でした😭

●シェリンダ:上村折乃助さん

芝のぶさんと共に脇役はもちろん、とにかくSNSで盛り上げてくれたグッズ広報担当者(笑

ゲーム中では、ちょいちょい会うことになるし、SNSでも凄い流れてくるから出番を楽しみにしてたんだけど、まさか出番がアレだけだったとは(でもシェリンダにとって一番重要なシーンでしたね)。衣装の再現率も高いなだけあって、もっと観たかったなァ。

上演期間中、SNSで盛り上げてくれたのはお祭り気分になれて嬉しかったです。
だから、終わってしまうのが本当に寂しかった。。。

なので、またいつの日か、

ザナルカンドが召喚される日が来ると願いながら・・・

この夢の日々を時々、思い出しますね。

今はとにかく、この素晴らしい歌舞伎役者さん達に出会えたことに感謝。

このキッカケを大事にして、次は古典歌舞伎デビューを目指したいと思います。

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